Golden Apple
そういえば鞄置いてきたな、と思い出して、ミヤシタも一緒に置いてきたことも思い出す。
と思ったけれど、ちゃっかりミカミはあたしの分の鞄も持っていた。
抜け目ない。
今やシャッター街と化した駅のこちら側。
入ったのは小さいビルとカラオケの間にある地下の階段。そこを下ると、センスのない落書きのしてある灰色の扉。
それを開けて、中を見ると前はバーでもやっていたのか、カウンターがあった。
「君に会わせたい人がいる」
あ、敬語なくなった。
黒いカウンターを横目に、ミカミは歩いていく。
誰かと問うのは面倒で黙っていると、急に足が止まる。