Golden Apple
煙草を吸い始めたタチバナはそう言って携帯を取り出した。冗談に聞こえないその動作に、あたしは携帯を取り上げる。
「ちょっと!」
「冗談だけど。つか、よくミカミが許したな」
「許してないから視察を寄越したんじゃない?」
その携帯を取り戻される。
「まあ確かに」
合意。どこにいたってミカミに見つからないなんてことはない。
それを知りながら逃げるあたしもあたしだ。
まあいいや。トーガとは同じ匂いがするし、ここには色々嫌なこと突っ込んでくる人いないし。
幹部の近くに置かれても、結局あたしは幹部ではない。