Golden Apple
ミカミが急に足を止めるから、その背中に鼻をぶつけた。痛い。
「すみません」
「謝って済んだら警察いらないっつーの」
「返事を聞いてなかったと思って」
首が冷たい風に晒されてる。だらしなく空いた鎖骨までも寒い。
人通りがない。
こんなに人の通らない場所があるのかと驚くほど。
でも、こちら側だと当たり前のことなんだろう。
「約束して貰えますか? 雑魚は相手にしないと」
「あれは本気じゃない」
「それでも」
「わかった、分かったから。もうしない、ミカミの許可が無いまま喧嘩はしない」
…言ってしまった。