Golden Apple
あたしはお兄ちゃんで、お兄ちゃんはあたしで。
『無理に納得しなくても良いんだ。クラギは、思ってくれる奴の中で生き続ける』
『じゃああたしが忘れたら死んじゃう?』
『そんなことない。あたしがずっと思ってるし覚えてる。クラギとカノン、どちらも』
いつしかコウヅカと交わした会話。
それからずっと。
ずっと、あたしの中にはクラギがいる。
もう殆ど顔も思い出せないクセに、一丁前に存在だけは大きい。双子の片割れというものは予想以上に重たいものみたい。
「ここに、帰って来てください」
肩を抱き寄せられる。頭がミカミの鎖骨に当たった。