Golden Apple
静かに頷いた。するりとあたしの手から離れた小学生は、こちらを一度見た。
「さっきの、嘘でしょ?」
「何?」
「悪いことしたら死んじゃうなんて、嘘でしょ」
こんなに寒いのにコートを着ていない。そんなの、目立つに決まってる。
そう、嘘だ。
悪いことをしたら死んでしまうのなら、あたしもミカミもコウヅカも、今はみんな居ないはずだ。
「卯月」
名前を呼ぶ。
何個もあるピアスホール。耳が冷たくなっているのが分かる。
「悪い果実を齧ったら、それはもう死んでるのと同じなんだ」