Golden Apple
ピシリ、と空間に罅が入る音がした。
ミカミが驚いたようにその手を見ていて、時間も一瞬止まったかのように思われた。
「手、汚いから」
「汚い?」
「さっき、ガムシロぶちまけて。それで」
アイスコーヒーの入っていたプラスチックの容器を掲げてみる。中にはガムシロの容器。
納得したように頷いたミカミが、再度あたしの手を掴もうとする。
今度は反応出来ずに握られて、引っ張られる。
「クラギちゃんの負けだ」
「そうだな」
後ろからトーガとタチバナに言われて、肩越しに睨みを利かせた。