Golden Apple

まあ、それでも。

無言で後ろから手が回された。邪魔だけれどき今日だけは何も言わないでおいてやろう、なんて。

キツネ色になってきたコロッケを掬う。

このひ弱な優等生が傷つくのは、あまり見たくない。


「…油飛ぶ」

「構わないです」


肩越しに振り向くと、キスを落とされる。

それから、あたしはミカミの腕に巻きついていた綺麗な手を思い出す。


「…なんですか?」

「何でも」

「すごくモノ言いたげな顔していましたよ」

「トーガに眼鏡借りてきたら、伊達だけど」

「遠慮します」


そんなキッパリ断らなくても。



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