Golden Apple
そういう奴は羨ましい、とコウヅカが言っていたことを不意に思い出す。
コウヅカとは、こちらに来て以来姿も見ていなければ声も聞いていない。
学校の噂で上がることもなかった。
ミカミはあたしが制服に着替えたのを見ると立ち上がる。
登校も下校も一緒。
飼い主というより、あれみたい。
「監視役」
「何?」
「なんでも」
斜め前を歩くミカミが前に向き直る。これだったらいつでも逃げ出せるけれど。