Golden Apple

タチバナも同じ事を思ったのか、苦笑している。あたしは自分の腕の上に顎を乗せて目を瞑る。

タクトがずっとこちら側の頭をやっていくわけにもいかない。フクちゃんとかいう彼女もいるし、爺になっても続けるなんて不可能。

それはコウヅカにも同じことが言える。

コウヅカのしようとすることがあたしにはよく分からないし、気紛れだし、一番大事なことを隠したりするし。

だから全部分かるなんて思わない。ミカミは違うんだろう。

全部分かってきたから、今分からないんだ。


「猫の次は食べ物ですね」


前髪を梳かれるように頭を撫でてくる。あたしは黙っていた。



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