Golden Apple

こういう人間はベッドでしか眠れないんだと思ってた。
そんなのは偏見か。

赤いあたしの椅子に座ってそれを眺める。

テーブルに放ってあった長らく吸っていなかった煙草を手繰り寄せて、一本抜く。ライターをカチリと点ける音で、ミカミが動いた。

やがて起き上がってこちらを見た。


「おはよ」


挨拶は返ってこない。代わりというように手が伸ばされて、当然のように煙草を盗られた。残りの煙を吐いて、灰皿で消されていくのを見る。

あーあ、勿体ない。

思っていると急に項を掴まれた。



< 369 / 475 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop