Golden Apple
小学生にまで心配されるなんて。伊達に何年もここで油売ってないってことか。
「うん」
「あと、もしもミカミ。偶に来る利口そうな坊ちゃん、分かる?」
「黒い髪の?」
「そうそう、そいつ見たら声かけなくて良いから、あたしに教えて」
「覚えとく」
今度小さくて美味しいお菓子でも持ってきてあげよう。小学生の視線は改札口へ向かっていた。
帰る時間までそこでぐだぐだと過ごした。あっち側の入り口まで送って、あたしは一人でマンションへ帰った。
玄関に靴が無い。
ミカミは帰っていないらしい。