Golden Apple
すぐにジャージに着替えて体育へ行く。扉を開けると既に練習試合は始まっていた。
「遅刻ー、三回で欠席にするからな」
「すいませーん」
教師の言葉を軽く受け流してそのペアの……、
「キッシー、ほら来たみたい」
「あ、本当だ」
キッシー。
初めて名前を意識した。今までの約八か月間、あたしはこの子の名前を気にしたことも無かった。
「はいこれ、次ダブルスだから」
「ありがと、どうしてキッシー?」
ゆっくりと首を傾げる。キッシーはその言葉の意味を少し考えて閃いた顔をする。