Golden Apple
いきなり年上面かよ、と思うだろうか。
涙の痕のある頬を微かに撫でる。
「こじらせたら駄目だよ」
「こじらせ…?」
「煙草吸ったり刃物持ったり火つけたり。相手から真っ直ぐ見てもらいたいなら、自分も真っ直ぐ向き合わないといけない」
風邪も思春期もこじらせたら大変。
頬を抓ってにやりと笑ってやった。
「あたしも戦ってくるから」
大きく頷いた小学生は、振り返らずに歩いていった。近くにサイレンの音が聞こえて、後ろに人がきたのが分かった。
ミカミは疲れた顔をして額を覆っている。