Golden Apple
死んでなかった。
改めて思った。
「ありがとう」
「うん?」
「卯月守ってくれてありがとう。本当に」
す、と目の下に指が触れる。何かと見上げると疲れた顔で笑っていた。
「隈が酷いですよ。美人が台無しです」
「び、びじ、」
「何をしに、行くんですか?」
冷や汗が出た。勘の鋭い奴って嫌い。
サイレンが近い。頭の中の警報のようで、誤魔化したい気持ちと怒られるかもしれないという気持ちがごちゃごちゃとする。
「きちんと帰ってくるんですよ。行ってらっしゃい」
ミカミの顔が近付いて、触れるだけのキスが落とされた。