Golden Apple
アッシュがかった髪色が、黒になっていた。
何色でも、それがコウヅカの為にあるように見えてならない。何色でも似合う。
レナコも認める美しさ。
「コウヅカ。あたし、今怒ってるよ」
ゆっくりと近づく。ミヤシタが前に来ようとしたのをコウヅカが制した。
ぽつり、とアスファルトを天が濡らす。
降り始めた雨に目を細めてコウヅカが言った。
「おお怖い。怒ったクラギとやりあうなんて、嫌ね」
「は? お前勝手に、」
「ミヤシタ、代わりに行ってきてほしい」
タクトが口を挟むのも聞かずに、ミヤシタへ言ったコウヅカは多分こうなるのを知っていた。