Golden Apple
遠目からだから、それが面白くて笑ったのか苦笑だったのか分からない。
「そうだね、私もそう思うよ。もうずっと前から」
「…え?」
「だから、建て直す権利を偶然持った私達はそれをする義務がある。ねえ、クラギ、あんたにもその権利があるって、分かっていたんじゃないか?」
真っ直ぐな瞳はあたしを射抜く。
権利、義務。
持つ者と持たされる者。
あたしには、関係がないと思っていた。
「黄金の林檎。それは手にした者は勝利へ導かれる切符だ、そのあんたには何も出来なかったのか?」
パトカーが近付いてきた。同時にミカミの顔が脳裏を横切る。