Golden Apple

メープルシロップの後ろに四角い缶。それを持ってタクトに渡した。


「…ミカミ、どこに居るのか知ってるの? 今日午前中に退院したって」

「ああ、何個かある内の隠れ家に。お前に黙って退院したのも聞いた」

「どうして、」


口を噤む。
ここから先を口に出して良いのかどうか。
その権利があるのか、どうか。


「ミカミは昔からああなんだよ、って言ったっけ?」


タクトが缶を受け取って、冷蔵庫に寄りかかる。

その姿がミカミと重なって自分が少しイタい。

聞いた、と答えた。



< 438 / 475 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop