Golden Apple
リビングにいたフクちゃんがキッチンに入ってきた気配がした。そちらを見ると、ハッと気付いたような顔をしてリビングに帰っていこうとするから、それを呼びとめた。
午前六時。
本当、訪問にしては早い。
「朝ごはん、食べて行ってよ」
タクトにわざわざこんな時間なのについて来てくれたフクちゃん。それもこれも、タクトがあたしと二人きりにならないように。それはあたしの為でも、タクト自身の為でもなく、今この場所にはいないミカミの為だ。
うん、と朗らかに笑ったフクちゃんの料理の腕は、まあ酷かった。
目玉焼きを焦がすとかそういうレベルではない。