Golden Apple
あたしの顔を見て、レナコの足が止まった。
同じように止まる。
「ほら、耳澄ましてみてよ」
言われた言葉通り黙ってその場に立つ。
後ろから来た人たちに迷惑そうな顔をされた。
耳を澄ましても聞こえるのは大量の足音と人の話し声。
あとは夜風が葉を揺らす音。
「クラギ」
呼ばれて振り向く。
コウヅカが居た。その後ろにミヤシタが見える。
「あ、レナコ久しぶり」
「ええ、あたしオマケ? ちょっとどう思うよミヤシタ」
泣くフリをしながらミヤシタに抱きつくレナコに苦笑いして、コウヅカが首を傾げた。