Golden Apple
コウヅカ直伝。確かにそうだ。
得意気に言ったんだろうその顔を想像して、少し笑ってしまう。
「っていうか、あたしが勝ったの?」と口を開こうとした。
視界の端にふっと何かが横切る。願望か、それともお化けか。
「いま、」
「あ? なに、どうした?」
「今見えなかった?」
「え、何かいた?」
トーガが周りを見回す。あたしは行ってしまったその方向を見つめた。
いた。いや、居なくても良い。
居て欲しいとあたしが思ってる。
「ちょっと行ってくる、タクトにごちそうさまって言っといて!」
走る。