Golden Apple

コウヅカ直伝。確かにそうだ。
得意気に言ったんだろうその顔を想像して、少し笑ってしまう。

「っていうか、あたしが勝ったの?」と口を開こうとした。

視界の端にふっと何かが横切る。願望か、それともお化けか。


「いま、」

「あ? なに、どうした?」

「今見えなかった?」

「え、何かいた?」


トーガが周りを見回す。あたしは行ってしまったその方向を見つめた。

いた。いや、居なくても良い。

居て欲しいとあたしが思ってる。


「ちょっと行ってくる、タクトにごちそうさまって言っといて!」


走る。




< 455 / 475 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop