Golden Apple
季節が巡るのは早い。
あたしとクラギがコウヅカに拾われたのなんて、ついこの間のことのようなのに。
心が追いついて行かなくて、迷子になる。
誰かが手を引いてくれるかもって、信じながら。
「どうしてクラギが泣いてるの?」
「はあ!? 泣いてないし」
「泣いてますよ」
伸ばされた手が、頬に触れる前に落とされた。
あたしが引いてあげなくちゃ。
今度はあたしが迎えに行ってあげなくちゃ。
ミカミの白い手に触れる前に後ろから来たサラリーマンにぶつかった。
道の真ん中で話しているあたし達も悪いけれど、睨んだら謝られた。