Golden Apple
昨日の夜は酔ってなかった。素面で帰って普通に眠った、はずだ。
自分が夢遊病でなければ。
シーツの端から出る茶色い長い毛。それを恐る恐る捲る。
驚いて固まると、むくりと起き上がった。ゴシゴシと目元を擦って伸びをすると、薄い肩と肩甲骨が目立つ。
キャミソールの肩紐が落ちていて、それを上げた後、起きたのかという表情でこちらを見た。
「お前さあ」
呆れたように口を開く。
それより、どうしてここに? 昨日撒いたはずなのに。タクトも知らない隠れ家。
「難しく考え過ぎだよ、クソ真面目」
ただその言葉に耳を傾ける。