Golden Apple
暗いけど温かいその場所は居心地は良いけれど、長居はしたくなかった。
自分は常にそういうものの狭間にある運命なのかと納得していたけれど。
「婚約は、特別強く勧められているだけで、強制ではないんです。僕はまだ18にもなっていませんし」
「………え?」
「こうして、逃げ回っていた理由は」
言ったら君はいつもの調子でくだらないと吐き捨てるだろうか。
「立ち位置が分からなくなってしまって」
「たちいち?」
「今までは脳味噌として動いていたので」
幹部も隔たりも無くなってしまった今、どうすれば良いのか分からなくなっていた。