Golden Apple

ぐに、と頬に爪が食い込んだ。

痛い。


「馬鹿」

「…君にそれを言われるときが来るとは」

「お前が言ったのに。家族だって」


彼女をこちら側に引き込んで、最初の方に言ったこと。
懐かしい。それを覚えているなんて。


「トーガがお母さんで、タチバナがお父さん、タクトが爺さんで」

「君が娘で?」

「ミカミがその旦那なんでしょう?」


腕が首の後ろに回って抱き寄せられる。
彼女の細い鎖骨の窪みに耳が当たって、鼓動が聞こえた。



< 467 / 475 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop