Golden Apple
黄金の林檎としてあたしは買われた。
ミカミなモノで玩具で。
「幸福の切符だったら良かったね」
そうしたらあたしがミカミを何からも守って、幸せに出来たのに。
「…違うんですか?」
「は?」
「僕は最初からそう思ってましたよ」
掠めるようなキスをして、ミカミは気障な台詞を吐いた。これでこそミカミって感じだ。
無意識に懐かしんでいる。
「そうに決まってんだろ」
相も変わらずあたしの口の悪さは健在で、それでもミカミは穏やかに笑っているから。
無性に煙草が吸いたくなって、涙が出た。
END.
20140807