Golden Apple
一度トイレに入って、それから外に行けば良い。
そんなのは甘かった。
「うん?」
「…キモイ」
「そういえば煙草を間違えて持って行っていた。返すのであちらへ」
指差すのはリビング。
ミカミが居るのは玄関前。
あたしがトイレから出てくるのをそこで張っていたらしい。
有無を言わせないその圧力。面倒くさくなってリビングへ戻る。
「クラギの欲しかったモノが用意出来たので」
「え?」
欲しかったモノって。
赤い椅子に座ると、低いテーブルを囲うように移動させられて、お誕生日席になった。