Golden Apple
期待も裏切らず、こいつは来てくれるわけだ。
上着を脱いだ細身の身体の方が寒そうで、あたしは溜め息を吐かずにはいられない。
「隣、座っても?」
「勝手にすれば」
どこかに発信機でも付けられたんだろうか。
それとも探し当てたとか。
ミカミは静かにベンチに座る。あたしの肩から上着がずり落ちた。
「まだ怒ってる?」
「うん」
「それは困った」
口調が困ってない。
ずり落ちた上着を直してくれるけれど。
「僕のことが嫌い?」
それは少し悲しそうだった。