Golden Apple
視線を向ける。
「うん」
頷けば、苦笑される。ミカミが口を開いた。
「どうして家族が欲しいと思ったの?」
「なんとなく」
「君の家族はもう居ないと、コウヅカに」
余計な世話を。
コインランドリーの方からは客の出入りの度に鳴る音が響く。
あたしは、言葉を探す。少ないボキャブラリーと言われる中から。
「自分が不幸だって嘆いたことなんて、無い」
瞬く星は美しいけれど、あたしには美し過ぎる。そんなもの、欲しいとは思わない。
ミカミとの距離は、最初に会った時と何も変わっていない。