Golden Apple

少し開いた空間の向こうにミカミは居る。


「虐待受けてたの、あたしと兄。もう死んじゃおっか、その前になんか食べようって、コンビニに入ってパンを万引きしようとした」


記憶は鮮明。


「その万引きを止めてくれたのがコウヅカで。それから、救ってくれたのもコウヅカだった」

「うん」

「でも、少しして、兄がコウヅカの所に戻って来ない日があって」


それは何度か夢に見た。


「まさかと思って家に帰ってみると、そこに居た。兄に刺されたのか、二人とも倒れて同じ部屋に居て」

「うん」

「血の付いた手で、あたしに気付いて、火をつけた」




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