Golden Apple
そして思い出す。
部屋を出た理由。
「あー…、いや、あたしもごめん」
「いいえ、でも家族のように思って欲しいと思ったのは嘘じゃない。簡単ではないかもしれないけど、ゆっくりで良いから」
「…うん」
兎に角寒かった。
家に帰ったら暖房の前を占拠してやろう。あいつ等はまだいるのだろうか。
立ち上がって上着をミカミに返す。
受け取った手が、またあたしの肩にそれを戻してきた。
紳士的。一言そう言ってしまえば済む行動だけれど。
「非力男」
「暴力馬鹿に何言われても感じませんよ」
…口の悪い友達が出来た。