Golden Apple
小学生の頭を見る。雑音に聞こえなかったのか、こちらを見ない。
「うん」
そういうわけではなかったらしい。
「あたしもそうだった。まあ、信じなくても死なないし」
「でも居たら良いよね」
解けかかったマフラーを巻きなおしてやる。
行き交う人々はこちらを見ない。
「あたしのクリスマスの夢は、サンタは来なくても、チェーン店とかで買ったチキンとかケーキを食べるのだった」
柄にもなくそんなことを言うと、小学生はこちらを見ていた。いつの間に。
ちょっと苦笑い気味のそれに目を細める。