Golden Apple
アルコールが入っている所為か、いつもより指先が温かい。どちらの指が、とまでは分からないけれど。
振り解くことなく、そのまま歩く。
「クラギの隠し子じゃないんだ」
「はあ? なにトーガの言葉真に受けてんの」
「いつも駅で会っているから、何か理由があって一緒に居られないんだと思って」
どんな想像の仕方だ。
…それより、駅で会ってるの知られていたらしい。まあ、隠すことではないけれど。
というより、知られていない方が可笑しいのか。駅がこの街を二分している。