はじめての贈りもの
幸いにもルドルフはソリに繋がれていなかったため、ニコラスはもちろん、他のトナカイたちは無事でした。

ルドルフのつのはぶつかった衝撃で折れ、ひづめも損傷し、体中はひびや骨折でいっぱいです。



彼が目を覚ましたのはそれから1週間後。

あの日とうってかわって、風ひとつない、静かな夕暮れのときでした。


「ここは……家?ぼくは、生きてるの?」


溜息のようにかすれた小さな声しか出すことができません。


「ルドルフか?!目を覚ましたんじゃな、よかった……よかった……」


お湯を沸かしていたニコラスはルドルフの声を聞くと、体を大きく揺らして駆け寄ってきました。相変わらずしわくちゃな優しい目元には、うっすらと涙が見えました。
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