はじめての贈りもの
それからニコラスはルドルフのおかげでみんなは無事だったこと、倒れたルドルフをソリに乗せて帰ってきたことを伝えました。


「ルドルフや、お前のおかげでわたしもこうして生きていられる。ありがとう、本当にありがとう」

ニコラスはなんども彼に頭を下げて言いました。


「それから、これは言いにくいんだが……」


視線をルドルフから外し、ニコラスは黙り込みました。

苦しさ、いらだち、あきらめ……。

どれとも言えない、そのすべてを合わせたようなにがい表情でした。


それはルドルフが初めて見る、ニコラスの厳しい顔でした。
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