ものくろからぁ
からぁ・赤
ザァ、ザァ……と朝から色の無い寂しさが降る。


「今日は雨……か」

誰にも聞こえない声の大きさでポツリと呟き
傘を差して歩き出す。

雨の日は早く家を出て早足で学校に行く。

色がとられる気がするから。
私の色、私の感情、私の気持ち。

バシャバシャ水の音を立てながら早歩きをしていると
いきなり何も見えなくなった。

……暗い。


「だーれだ」
「アユ」
「早い!早いよ愛紀」

友達のアユが両手で私の目を覆っただけらしい。
昔よくやった『だぁれだ』だ。懐かしい。

「アユ、今日は早いね。珍しい」
「珍しいとは失礼な。たまたまだよ、たまたま」

それは珍しい、ということでいいのでは……?

「それを突っ込むなぁ」

指摘するとアユは可愛らしく頬を膨らまして
可愛い声で怒る。

アユは、カラフルだ。
喜怒哀楽がはっきりしてて
自分を隠さない子。


悲しい、黒や白なんかじゃない。
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