星屑ビーナス
「ただし、俺が納得するまでは何度だってボツにするぞ」
「はい!頑張ります!」
「じゃあ以上、今日の企画会議は終了」
仕事を託して貰えた、ということは少しは信頼してもらえているということ。
嬉しく堪えきれないその気持ちに、笑みをこぼしながら荷物をまとめ始めると、その顔は不意に私の顔を覗き込んだ。
「な、なんですか」
「お前、本当毎日遅くまで仕事してたんだな。目の下すごい隈出来てるぞ」
「それもありますけど、元々隈が出来やすいんですよ」
「コンシーラーちゃんと塗ってるか?それとも、奥谷専用に強力隈消しコンシーラー作らないとダメか?」
からかうように笑いながら、その指先はそっと私の目元を撫でる。
唐突に近づく距離に、触れる感触。
瞬間跳ねた心臓にバッと離れては距離をとる。
「?どうした?」
「…せ、せっ…」
「せ?」
「っ〜…セクハラーーー!!!」
「は!!?」
そしてそう叫び声をあげて手早く荷物を手にとり、会議室を飛び出した。
「セクハラって…」