星屑ビーナス





『うわ、狭い部屋だなぁ』

『一人暮らしだもん。ワンルームで充分』

『おまけに服と化粧品ばっかり…こんなにあってどうするの?』

『服は仕事用だし、化粧品はそれぞれ意味があるの!あれは普通の化粧水、保湿用、コラーゲン配合…』

『女の人って大変だなぁ…』





話をして笑って、そんなもう何年も前の日々

忘れたいのに記憶が消せない



「……」



首にしていたネックレスを、寝転がったままそっと外す。

チェーンに指輪を通しただけの、シンプルなもの。よく見れば指輪には大きめのダイヤが輝いている。



(…消せない、な)

それを手に握り締め、私はそっと目を閉じた。





< 15 / 334 >

この作品をシェア

pagetop