星屑ビーナス
「…バカかよ、お前は」
「……」
「どんな意味でもその男のこと引きずって、結局何年経っても変わってない。一生そこで一人立ち止まってるつもりか?」
引きずって
変わらず
一人、立ち止まる?
そんなことが馬鹿なことだなんて、わかってる
私が一番、わかってるのに
「っ…真崎さんには分からない!!」
思わず声を荒げた私にも、その目は見つめたまま。
「結婚を考えていたのに、向こうの本命はよそにいて、フラれて…いきなり一人になるつらさも、周りの哀れむ目も、泣きたくても泣けない毎日もっ…」
『ごめん』
それまで当たり前にあった日々
これからも当たり前に続くと思ってた
瞬間、壊れた世界
「忘れたくても忘れられない気持ちも…真崎さんにはわからない」
忘れたくないわけじゃない
覚えていたいわけでもない
だけどなかったことには出来ない
よみがえっては、また疼くから