星屑ビーナス



「…バカかよ、お前は」

「……」

「どんな意味でもその男のこと引きずって、結局何年経っても変わってない。一生そこで一人立ち止まってるつもりか?」





引きずって

変わらず

一人、立ち止まる?



そんなことが馬鹿なことだなんて、わかってる

私が一番、わかってるのに





「っ…真崎さんには分からない!!」



思わず声を荒げた私にも、その目は見つめたまま。



「結婚を考えていたのに、向こうの本命はよそにいて、フラれて…いきなり一人になるつらさも、周りの哀れむ目も、泣きたくても泣けない毎日もっ…」





『ごめん』





それまで当たり前にあった日々

これからも当たり前に続くと思ってた



瞬間、壊れた世界





「忘れたくても忘れられない気持ちも…真崎さんにはわからない」





忘れたくないわけじゃない

覚えていたいわけでもない

だけどなかったことには出来ない

よみがえっては、また疼くから





< 151 / 334 >

この作品をシェア

pagetop