星屑ビーナス



ー…



触れた瞬間、切れた糸





『真崎さんには分からない!!』





「……」



ある冬の日、冷たい空気の中見つめた窓の外には青い空に白い雲が浮かぶ。



(…今日も冷える)

心の中でぽつりと呟いて、俺は休憩室の隅で一人温かな缶コーヒーを飲みながら遅くとった昼休みを過ごしていた。



季節は12月も半ばをすぎ、もう数日でクリスマスになる頃。仕事の面ではクリスマス商戦だ何だと気合は入るけれど、個人的にはどうでもいい。どうせ毎日変わらず仕事だ。

それ以上に今は、気にかかることがひとつ。



「あ、悠。ここにいた」

「?浅田…どうした?」

「営業部の子が探してたよ。確認したいことがある、って」

「あー…わかった。これ飲み終わったら行く」



まだ半分ほど残っているコーヒーを手に頷く俺に、浅田は何かを少し考え笑顔のまま隣へと立った。


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