星屑ビーナス

「最近、奥谷さんと何かあった？」

「……」



ギク、と感じるのも当然。

奥谷とのこと。それは今一番触れられたくないことだ。



「な…何だよいきなり」

「いや最近二人何かおかしいからさ。全く話さないし、奥谷さんもピリピリしてるっていうか」

「……」



へらへらとした笑顔で、周りのことなんて見ていないように見えてやっぱり目敏い。そんな浅田に俺は言い訳するのもアホ臭くなり、観念したように頭をかいた。



「別に、何があったってわけでもないけど…」

「けど？」

「…触れちゃいけない所に触れてしまったというか」





『奥谷の奴、前に付き合ってた男に婚約破棄されたんだよ』





その話を聞いたのは、先日。一緒に遅くまで残っていた上司からだった。