星屑ビーナス





『ごめん。俺…やっぱりお前とは結婚できない』





3年付き合った彼氏に、そう言われたのは今から2年前。

丁度今くらいの季節の、11月の半ばのことだった。





『…は?』





思わずそんな間抜けな声が出たのも当然。

プロポーズもされて、婚約指輪も貰って二人の結婚指輪も決めた。
互いの親に挨拶も済んで二人で住む部屋も探していたし、結婚式の日取りや会場・ドレスや料理も決まっていて、明日には招待状を出そうと準備をしている最中のことだったのだから。





『ごめん…本当、ごめん』

『何で…』

『…他に、付き合ってる相手がいる』

『え…?』

『知香と結婚すれば、相手への気持ちにも踏ん切りつくと思ったけど…やっぱり無理だった。ごめん、俺はその人といたいんだ』





つまり、ずっと浮気していたと。

私と式の話や将来の話をしながら、心はずっと向こうにあったと。




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