星屑ビーナス



(…頑張る)



あの日から、真崎さんとは口を聞いてない。

顔を合わせてもすぐ背けてしまうし、会話をしても最低限のことだけ。
それでも真崎さんは普通に接してこようとするけれど、私自身気まずさから普通の態度が難しく向き合うことは出来ずにいる。



「…はぁ、」

「あれ、奥谷どうした?」

「岡田部長」



そう熱っぽい溜息をつき歩いていると、向かいからやってきたのは岡田部長。丁度よかった、と近付く私にその足は止められた。



「これ書類です。営業部で処理お願いします」

「あぁわかった。…すごい顔だな、風邪か?」

「まぁ、はい…」

「クリスマスだっていうのに風邪とは、お前もタイミングが悪いなー」



書類を受け取りながらあはは、と笑う岡田部長に苦笑いで応えると、彼は不意に思い出したように話を切り出す。


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