星屑ビーナス



「ちゃんと着替えたな。体温計は?」

「そこの引き出し…」

「開けるぞ」



部屋に戻ってきた真崎さんは冷やしたタオルを一度置き、引き出しから体温計を取り出して躊躇なく私の服の隙間から差し込んだ。



「…セクハラ」

「女の体なんて見慣れてる。いちいち欲情なんてしないから気にするな」

「……」



本気なのか冗談なのか…考えるうちにも、すぐ体温計はピピッと音をたてる。見ればそこに表示されたのは、『39.1』の文字。



「本当に39度あったか…薬飲んで寝ておけ。今飯用意してやるから…」



真崎さんはそう言っては、帰る途中に買ってきたコンビニの袋からレトルトのお粥を取り出しキッチンへ向かおうと歩き出す。

その時、その足はベッド横に置いてあった紙袋を蹴る形でぶつかってしまった。



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