星屑ビーナス
見ないで
触れないで
もう、これ以上
「…大丈夫ですから、置いておいてください。ほっといて…もう仕事戻ってください、」
あなたといると、弱くなるから
「…、」
けれど彼は引き下がることなく、そんな私の手を引っ張る。
そして次の瞬間、その腕は力強く私の体を正面から抱き締めた。
「…、…」
「……」
体温と彼の匂いで体を包み、よしよしとまるで子供を宥めるように頭を撫でる。
「真崎、さん…?」
「…俺には、お前の言葉が素直なものに聞こえない」
「…?」
「奥谷が『大丈夫』って言う度に『大丈夫じゃない』って聞こえる。『ほっといて』って言う度に『行かないで』って聞こえる」
「……」
強がりに隠した本音。心の奥底にあるものを言い当てるその言葉にほだされるように、固く結んでいた紐が緩んでいく。