星屑ビーナス
小さく開いた 心
大丈夫じゃない、
いかないで、
見せられない弱さもきっとその瞳の前では、隠しても意味がないから。
「…未練とかじゃ、ないんです」
首から下げた指輪も
捨てられないままの紙たちも
『未練』と呼ぶものではない
「…わかってる。この前は意地悪な言い方して、悪かった」
「……」
「ただ心がついていかなくて、上手く生きられないだけなんだよな」
ついていかない心を、引きずっているだけ
「だってそれまで何事もなく幸せで、それが普通で当たり前で…ずっとその人といると思ってて。けどそう思っていたのは自分だけだったって、そんな現実が信じられないし信じたくない」
思い出が染み付いたこの部屋から引っ越すことも、物を捨てることすらも出来ずにいるのは、失う現実と向き合えずにいるから。
現実では、もうとっくに全て失くしているのに
思い知るのが怖い
私はもう、一人なんだと