星屑ビーナス
「悲しいのにつらいのに、それでも泣けないのは周りが心配するから。…『可哀想』って言われるのが、一番つらいんだよな」
『可哀想だよね』
その言葉を言われる度
あぁ、私はそんなに可哀想なんだって惨めになって
だから、気付かれないように
その言葉を言われないようにって
笑顔を作って、強くなる
「そうやって、我慢して溜め込んで…どんどん殻が固くなっていく」
自分を守る、殻が
「……」
耳元で囁かれるその言葉。
それはひとつひとつ確かに、この気持ちたちに重なる。
(…なん、で…)
どうして、
その心は、
「…何で全部、分かっちゃうんですか…」
私の気持ちを、全て知っているんだろう
引きずる心
向き合えない現実
閉じこもる殻
全て、まるで見えているかのように
「そりゃあな。…俺も、似たような経験あったから」
「…?」
似たような、こと…?
彼は熱い体を抱きしめたまま、言葉を続ける。