星屑ビーナス



「もう5年も前か…28の時、付き合ってた彼女と結婚話が出てたんだよ」

「え…」

「同棲してて、式の話も進めてた。けどある時、仕事の都合で珍しく早く家帰ったら彼女が男とベッドに寝てた」

「それって…」

「浮気、されてたってこと」

「……」





婚約者がいて、浮気されていて





「『だって仕事ばっかりで寂しかった』…とさ。今より時間もあったし、空いた時間は一緒に居たのにな」

「それで…別れたんですか?」

「当然。すぐ別れを決めたら相手に『冷たい』って言われたけどな」





その言葉に重なる記憶は

私も知っている気持ち





『可愛くない奴』





真崎さんには分からない、

私はこの前そう言ったけれど

彼は、知っている

私と似たような苦い思い



知っているからこそ、正面から向き合ってくれている。




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