星屑ビーナス



(いい式だったなぁ…)



チャペルも綺麗で、祥子ちゃんも幸せそうで…前までだったら、どこか落ち込んでいたかもしれない。けど、今は幸福感に包まれて清々しい気持ちで見守れた。



その理由はきっと、



「奥谷」

「あ…真崎さん」



その声に振り向くと、そこには白い風船を手にした真崎さんの姿。

いつものシンプルなスーツとは違い、ストライプの柄の入ったシャツに明るいネイビーのジャケットで身を包んでいる。



「あれ、和泉は?」

「向こうで男の人たちに囲まれてあしらってますよ」

「あ、本当だ」



指をさした向こうでは新郎の友達である男性たちに囲まれているかおり、という割りとよくある光景。

『一緒にいると知香まで絡まれるから』という理由で、そういう時は大体かおりは私から離れた位置に行ってしまう。

その光景に真崎さんははは、と笑った。



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