星屑ビーナス
「…けど、婚約破棄された人間が二人も揃う結婚式って何だか演技悪いですね」
「それは言うな。俺も思ったけど」
「……」
びゅう、と吹く冬の冷たい風が結った髪とスカートの裾を揺らす。
「あ…そういえば、岡田部長のこの前の話の件だけど」
「?」
「見合い、断っておいたから」
「なんで真崎さんが?」
「どうせ受ける気なかっただろ?またお前と部長で話して上司相手に怒鳴ってもまずいからな」
「うっ…」
確かに以前怒鳴りかけただけに、そう思うと有難いけど…どこまで世話焼いてくれるんだか。
その優しさは
私が後輩だから?
同じ気持ちを知っているから?
わからない、けど
少しずつ、この心を片付けていくために。