星屑ビーナス



あの日から壊れたまま、動くことのなかった心

音もたてず穴は開いたまま、時々何かが流れ込んできても虚しく通り抜けてしまう。

だけど、その穴をそっと塞いでくれる手





「彼の話を聞いてくれたのも、向き合ってくれたのも…かおり以外では真崎さんが初めてなんです」





あなたの、その優しさに

再び心は動き出す





「ありがとう、ございました」

「……」



自然とこぼれた笑顔に、その顔は少し驚いてはふっと笑った。



『皆様、お待たせ致しました。それではこれよりバルーンリリースを致します』

「あ、始まりますね」

「そうだな」



すると響いた司会の声に、私たちは赤いマットの敷かれた道に沿って並び二人を待ち受ける。



『バルーンをお隣の方とペアにして飛ばしましょう。皆様、お隣の方と一緒にバルーンをお持ちください』

「……」

「…、」



隣の人とペアに、その言葉にチラリと隣を見ると隣の真崎さんもこちらを見た。


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